腎がん

済生会下関総合病院の腎がん診療の特徴

 近年、画像診断の進歩と普及によって、より早期の段階で腎がんとされる患者さんが 増えています。腎がん治療の基本は手術ですが、正常の腎臓組織を温存する腎部分切除 術が広く行われるようになり、手術の低侵襲化が進む一方、より高い技術が求められる ようになってきております。
 当科では、山口県内では数少ない、日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医(高井)、 日本内視鏡外学会腹腔鏡認定医(泌尿器)(高井)が常勤している施設です。山口県内 ではほとんど行われていない,体腔鏡下腎部分切除を積極的に施行しています。 一方、 すでに転移を有する進行腎がんに対する治療も、近年大きく進歩しております。従来の 免疫療法に加えて、多くの分子標的治療薬が使用可能となる中で、当科ではその豊富な 症例経験を生かし、ぞれぞれの患者さんに最適な治療法の選択を提案しております。

腎がんの治療成績

 小さな早期がんには腎部分切除術を、局所進行がんには根治的腎摘術をそして進行が んには免疫療法もしくは分子標的治療を主体に治療を行っています。

5年生存率

 病理学的進行度(pT 分類)別に見ると pT1 が 92%、pT2 が 78%、pT3 が 53%、 そして pT4 が 32%です。

腎がんの症状

 早期では無症状、最近は人間ドックの腹部超音波検査や、他の病気で精査中に偶然発 見される場合が増えてきています。古典的な症状は、血尿、疼痛、腹部腫瘤です。 

腎がんの治療法

 腎がんに対する治療は根治的腎摘術をはじめとした外科療法が最も確実な手段であ り、抗がん剤による化学療法や放射線治療は困難です。

1.手術療法

 腎がんに対する治療は、手術が第一選択です。
 当院では、腹腔内視鏡手術を積極的に施行しており、腎部分切除も腹腔鏡下で行って います。手術方法は、腎臓に入る動脈、腎臓から出る静脈の順に処理をして、腎臓を周 囲の脂肪ごと副腎も一緒に取る根治的腎摘出術が行われます。4cm 以下で腎臓の辺縁 にできているがんに対しては、がんのできているところを部分的に取る腎部分切除でも、 根治腎摘出術と同等の治癒率がえられています。

2.免疫療法

 特に肺転移に対して有効です、インターフェロン、インターロイキン2等が用いられ ています。

3.分子標的治療

 がん細胞に特有な蛋白質・シグナルを標的とすることで、「がん細胞のみを壊して、 正常細胞を傷つけない」ということがコンセプトです。転移性腎細胞がんでは、現在、6剤が承認されています。今後も様々な薬剤が登場する予定です。これらの薬剤では、 有効性について多くの報告がある一方で、従来の抗がん剤とは異なる有害事象の出現も 報告されており、医師によるしっかりとした管理・指導が必要と思われます。

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