当院におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)検出事例に関するご報告ならびに対応について

令和5年2月22日
社会福祉法人恩賜財団済生会支部
山口県済生会下関総合病院
病院長 森 健治
 
 令和5年2月9日、当院に入院されている患者様からバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が検出されました。この患者様を中心としたスクリーニング検査を行ったところ、現時点で当該病棟の3名からVREを検出しております。加えて検出前に当該病棟から他院へ転院された1名の患者様からも同菌が検出されたとの報告を得ました。
 病院の全職員にこれまで以上の手洗い・手指消毒を徹底し、VREの感染が起こりやすいトイレや手洗い場を清掃し、アルコール消毒回数を増やすなどの対応を指示しています。さらに紫外線照射による環境整備を強化する予定です。
 下関市保健所や当地域の感染対策チーム(Shimonoseki ICT)の方々の助言を頂きながら当面の間以下の感染対策を実施することとしました。
 VREの感染を防ぐため、保菌が判明した患者様を隔離し、当該病棟への入院を一部制限しております。併せて病室の環境スクリーニングを実施し、問題がないことを確認した上で当該病棟への新規入院は再開する予定です。外来診療については、従来通り行ってまいります。
 皆様にはご心配やご迷惑をおかけすることとなり、大変申し訳ありません。今後とも安全で適切な医療を提供できるよう、感染拡大防止に細心の注意を払いながら取り組んでまいりますので、何卒ご理解とご協力頂きますようよろしくお願い申し上げます。
 
 
【バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)について】
 腸球菌は、ヒトや動物の腸管に常在する基本的には無害な細菌です。しかし体力の低下・抗がん剤治療や手術などで感染症を起こしやすい状態になると、敗血症などの生命に危険な状態になることがあります。バンコマイシンという抗菌薬はこの腸球菌による感染症の特効薬ですが、このバンコマイシンに耐性を持つ腸球菌をバンコマイシン耐性腸球菌、通称VREと呼びます。
 VREは健康なヒトの体に感染しても、感染症を発症することはまれです。この場合、除菌目的に治療を行う必要はありません。また一度感染しても自然に消失することが知られています。最近では、VREに有効な抗菌薬の登場もあり、感染症を起こしても臨床的に治療は十分可能といわれています。

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