循環呼吸不全治療 ECMOの更新後の治療実績

 当院のECMO装置は2023年2月に新規システムになりました。装置本体が新しくなり、自動記録システムや連続血液ガス監視装置などが追加されたことで管理の安全性が高くなりました。システム更新後の症例数が10月までに15例を超えました。
 ECMOとは循環不全や呼吸不全に対して人工呼吸器や昇圧薬などでは救命困難な病態に適応される治療法です。人工肺とポンプを用いて身体の心臓と肺の役割を一時的に担い、回復するまでの時間をかせぐ対症療法になります。
 当院では2023年2月に自動記録システムや連続血液ガス監視装置などを搭載したシステムへ更新を行いました。ECMO装置本体は大型のタッチパネル式となり操作性や視認性が向上しており、さらに従来の機器には無かった圧力センサーや気泡センサーのアラーム機能が追加されたことで安全性が増しました。自動記録システムは、ECMO装置の流量や圧力変化、身体の心電図や血圧などのバイタルデータ等を最短1分間隔で取り込み、データの時系列表示やグラフ化が可能となりました。連続血液ガス監視装置は、採血時のタイミングの情報しか得られない血液ガスデータを、専用の測定セルをECMO回路内に組み込むことで連続して得ることができます。得られたデータより流量の調整や薬剤効果の評価などが可能になり、自動記録システムと併せて更新前よりも細かな管理が可能になりました。
 当院では、主に心筋梗塞・難治性の心不全が原因でショック状態や人工心肺術後の離脱困難時、心臓バイパス術や経皮的大動脈弁置換術などの心臓手術中の一過性のショック対応に使用しており、2023年2月から10月までの症例数が15症例を超えました。

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