アンギオ装置(循環器用バイプレーン装置)導入

 2023年9月に、循環器領域(心臓・冠動脈・大動脈・血圧等)で使用されるアンギオ装置「Trinias B8s」を導入しました。この装置は、血管の病態解析、血管治療のガイド、血流評価を使用目的とし、リアルタイムで高解像度のX線画像を提供し、医師に病態や異常の詳細な視覚情報を提供します。

装置の特徴

1.Deep Learning技術により生成されたAIフィルターを用いることで、従来の装置より少ない被曝で高画質な映像が撮影可能となりました。
2.StentViewという機能を搭載しており血管内デバイスのマーカーをAIにより認識し、血管内デバイスを中心に1コマずつ重ねて撮影していきます。これにより通常は心拍で動いて見えるデバイスを静止させ、リアルタイムに強調して見ることができ、より正確な位置への手技が可能になりました。

エキシマレーザーでの治療(2023年11月17日より)

エキシマレーザー冠動脈形成術(ELCA)とは、冠動脈に挿入されたカテーテルの先端から照射されるエキシマレーザーによって、閉塞した血管を開通させるという治療方法です。ローターブレータでは治療が困難な、急性心筋梗塞などの血栓性病変、あるいはステント再閉塞といった病変にも組織を蒸散させるエキシマレーザーは効果があります。
エキシマレーザーとは、キセノンを媒質として発生するレーザー光で、この光照射を行うと分子結合が直接切断され、大きな分子が小さな分子へと変換されるという性質があります。つまり、エキシマレーザーを動脈硬化の起こった冠動脈に照射することによって、生体組織に熱損傷を起こすことなく病変組織を蒸散させることができるという原理になっており、安全性の高いものとされています。
エキシマレーザーは、従来にない血管内治療器具のため、今後いろいろな活用方法が期待でき、治療の選択肢が拡がることにより、さらに高度な治療が可能となります。

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とは、冠動脈の狭窄・閉塞病変に対してカテーテルを用いて治療する方法です。通常はバルーンによる拡張およびステント留置を行うことが一般的ですが、冠動脈複雑病変(石灰化病変、分岐部病変、慢性完全閉塞病変など)に対してはその他のデバイスや特殊なテクニックを用いることがあります。石灰化病変の中には、石灰化のためバルーンで十分な拡張ができない場合があります。またバルーンが通過することすらできないこともあります。そういった場合はロータブレーターというデバイスを使用し、石灰化病変を削る必要があります。その結果、バルーンによる拡張およびステント留置を行えるようになります。

不整脈診療

 一般的な頻脈性不整脈疾患(発作性上室性頻拍症・心房粗動など)に加え、全国的に心房細動に対するアブレーション治療(経皮的心筋焼灼術)が広く普及し治療適応も拡大する傾向にあります。当院でも心腔内の3DマッピングシステムであるCARTO(カルト)システムを用いて、より正確なマッピングによる治療成績の向上と安全性の確保を目指した治療を行なっています。
 また、当院は不整脈専門施設に認定されており、デバイス治療についても取り組んでいます。徐脈性不整脈に対する従来のペースメーカ治療に加え、心室頻拍・心室細動といった致死性不整脈に対する植え込み型除細動器(ICD)の導入も積極的に行っています。リードレスペースメーカ治療も導入しており、より低侵襲な治療も行えるようになっています。加えて、心臓内の刺激伝導系の障害による心機能低下症例については心臓再同期療法(CRT)の導入をおこなっており、重症心不全治療の新たな選択肢となっています。
  • CARTOシステムによる心房3Dマッピング

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