超音波を用いた気管支鏡検査(EBUS-TBNA、EBUS-GS)

超音波を用いた気管支鏡検査(EBUS-TBNA、EBUS-GS)
 2023年8月に超音波気管支鏡(EBUS)を導入しました。
 肺の病気(特に肺癌)が画像検査で疑われた場合,確定診断のために広く行われるのが気管支鏡検査です。従来の気管支鏡検査では診断が困難であった中枢病変(縦隔リンパ節、気管支周囲の腫瘤)や末梢病変(横隔膜や心臓の影に隠れる病変、末梢の小さい病変)の正診率向上のために用いられるようになったのが、超音波気管支鏡です。

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)

 EBUS-TBNAは気管・気管支周囲の病変に対して診断することを目的とします。リアルタイムにエコー下で病変を確認しながら針生検を行う手技です。
 気管支鏡と超音波が一体となったコンベックス走査式超音波気管支鏡(Convex probe endobronchial ultrasound; CP-EBUS)を用いて行います。血管をエコーで確認し、穿刺ルート上の血管を避けて安全な穿刺が可能です。縦隔(主気管支周囲)や肺内のリンパ節が腫れている場合、以前の気管支鏡ではその部位へのアプローチが困難であったため、ほとんど縦隔鏡検査などの外科手術によって診断していました。EBUS-TBNAでこれまで内視鏡的な診断が困難であった縦隔や肺内のリンパ節、腫瘤から組織を採取し、診断することが可能になりました。
 肺癌以外にも、サルコイドーシスや縦隔腫瘍の診断にも応用されています。

ガイドシース併用気管支内超音波断層法(EBUS-GS)

 EBUS-GSは肺末梢病変の診断において、診断率の向上、超音波による質的診断を目的とします。末梢病変をエコーで確認し、最適な生検部位を決定してから器具を挿入する手技です。
 肺末梢の病変を診断する場合、生検鉗子などがきちんと到達したかの確認はこれまでX線透視を用いて行われてきましたが、影の場所や大きさによっては器具が到達しているかどうか分かりにくい場合がありました。ガイドシースを通してラジアル型と呼ばれる紐の様な超音波プローブを挿入することで、ガイドシースの先端が確実に病変の中にあることを確認してから生検を行うことが可能になり、診断率が向上しました。
 また、生検後に出血がおこった場合でも、ガイドシースを適切な枝に留置することで同じ場所から確実に繰り返し生検することが出来るようになり、止血もしやすくなるという利点があります。

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