循環器内科治療 衝撃波で冠動脈石灰化を砕く(衝撃波血管内砕石術)


 2024年1月26日、冠動脈血管内の石灰化病変に対する衝撃波血管内砕石術(IVL、Intravascular Lithotripsy)が当院で実施されました。この治療法は2022年12月に保険適用となった新しい方法です。導入された機器(SHOCKWAVE C2コロナリーIVLカテーテル)は、腎・尿路結石の治療に用いられていた体外衝撃波治療の原理を応用し、血管内から衝撃波を当てて石灰化した箇所に亀裂を入れることで、ステント拡張を容易にする治療方法です。
 一般的な狭心症の治療法としては、冠動脈の狭窄部位に金属製のステントを留置する冠動脈形成術(PCI)が行われています。しかし、高齢化社会を迎え、冠動脈が石灰化している方が増えています。
 冠動脈石灰化は、特に高齢者や慢性腎臓病患者に多く見られます。動脈硬化が進行し、病変にカルシウムが沈着すると、血管が骨のように硬くなります。この石灰化病変の場合、ステントが十分に拡張せず、効果的な治療成績が得られないことや、合併症が増える可能性があります。
 従来は、ロータブレーターと言う先端がドリルのように高速回転して石灰化を削るデバイスしか選択肢がなく、病変の状態によっては良好な治療効果が得られないこともありました。
 この度導入された衝撃波血管内砕石術(IVL)は、石灰化病変にバルーンカテーテルから衝撃波を照射し、硬くなった血管に微細な亀裂を入れて血管を柔らかくし、その後のステント拡張を容易にする治療法であり、慢性期の治療成績の向上も見込まれています。IVLとロータブレーターを患者さんの状態や病変によって選択することが可能となり、治療戦略の幅が広がりました。

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